こんにちは。ロボットめがね税理士の谷口(@khtax16)です。
国産RPAとしてははじめてのクラウド型らしい「BizteX cobit(ビズテックスコビット)」
クラウド会計ソフトのfreee社との共催で操作説明会があったため、参加してきたことをレビューします!
なお、前提として、
- 書いている人(私)が税理士
- 「小規模企業・フリーランス向けにどうか」という視点でのレビュー
となりますことをご了承くださいませ。
そのほかのRPA関係の記事についてはこちら↓
『【RPA超入門編】RPAとRDAの違い 小規模企業のためのざっくり図解』
『RPA・RDAの衝撃 ロボットがあなたの手となる日(税理士業界向け)』
『RPA習得の難易度は「Excelの関数以上プログラミング未満」説』
目次
国産クラウドRPA「BizteX cobit」 ハンズオンセミナーレビュー記事
いきなりですが、前提を踏まえたうえでの感想としては、
「小規模企業、ひとり社長、フリーランスはそもそもターゲットじゃないのだろうな」
ということ。
特に私のいる税理士業界は、現時点で言うとコストが見合わない可能性が非常に高いのではなかろうか、と思っています。
(理由は後述)
おそらくBizteX社さんとしては「そもそも対象外のあなたに言われましても・・・」感もあることでしょう。
クラウドRPA「BizteX cobit」とは
『【RPA超入門編】RPAとRDAの違い 小規模企業のためのざっくり図解』
などでさんざん書いておりますが、「RPAツール」というもののクラウド版のサービスです。
こちらの公式webサイトを見るのが一番早いのでしょうが、「BizteX cobit」の特徴として、
- クラウドのため最短即日使用可能
- Chromeを使った処理にめっぽう強い
- ほかのRPAツールに比べれば割安
という感じです。
※ オンプレミス製品だと3週間ぐらいかかることもあるらしいのですが、オンプレミス製品ってなんじゃい。と思ったら要はインストールする方式と考えていいっぽい(間違えてたらごめんっぽい)
日本の会社がつくった「BizteX cobit」の使い心地
実際のところ、私はRDAとしての使用を想定しているため、基本的にはそのオンプレミス製品というか、スタンドアロン的というかインストール型的なものを使っていますが、私がこれまで使ったこと・見たことのあるRPAツールは、
- WinAutoMation
- UiPath
- MinoRobo
- WinActor
なので、それらとの比較になります。
特に、そこそこ使っているのが「WinAutoMation」と「UiPath」であるため、この2つと比較したうえで私が感じた使い心地などをざっくり並べていきます。
内容としては、
○ 直感的に操作可能なデザイン
○ Chromeにめっぽう強そう
× デスクトップアプリの操作は苦手
× 対応ファイルがCSV、Excel、Googleスプレッドシート
の4つと、料金についてのごくごく簡単な解説です。
○ 直感的に操作可能なデザイン
個人的に一番「いいな」と思った点としては、直感的に操作可能なデザイン であることです。
UiPathなどを使っていると、ひとつひとつのActivities的なものが日本語なのはやっぱりわかりやすいなと。
BizteX cobitはレコーディング機能がデフォルトみたいな感じになっているので、操作の構築はしやすいのではないでしょうか。
あと結構おしゃれに仕上がっています。
このへんは会計ソフトとかを日ごろ見ているとうらやましくなるところ。
ちょっとSlack的な感じ?(ものすごいなんとなくかつ個人の感想です)
○ Chromeにめっぽう強そう
共催セミナーだけあってfreeeの操作(請求書作成)をしてみました。
上の特徴にも書いたように、Chromeを前提としているからか 各要素の取得がものすごくスムーズ でした。
特にfreeeがものすごくうまくいきまして、おそらくですがMFクラウドも大丈夫なんじゃないかと。
RPAツールを使うと、Chromeだと逆にうまく要素(ブラウザ上のボタンなど)を取得することができなかったりして、クラウド会計とどう連携したものか悩むことがあるのですが、メニュー内のメニュー的な機能もスムーズに使えました。
↓ こういう「取引」メニュー内の「請求書」とかそういうの
ここはすごいなあと。
その一方、質問でお聞きしたところIE(Internet Explorer)への対応は開発中とのことです。
(2018年6月時点)
これは国税庁をはじめとする、e-TaxやeLTAXといった「IE至上主義」的なお役所と付き合わざるを得ない税理士にとってはかなりの痛手です。
痛手といえば次の要素も。
× デスクトップアプリの操作は苦手
これも質問でお聞きしたところ、「クラウド型のため、デスクトップアプリの操作は苦手」とのお答えをいただきました。
これは単純に私の印象ですが、「苦手」という言葉を選んだのはぼかしたかったためではないか、という雰囲気をそこはかとなく感じました。
なので満足に動かせない可能性もあるのかなと。
(こちらもあくまで2018年6月時点)
税理士という仕事柄、会計ソフトや税務ソフトなど、インストールしないと動かないような 専用ソフト系の操作がしたい場合は結構痛手 かと思います。
これが「特に税理士業界は、現時点で言うとコストが見合わない可能性が非常に高いのではなかろうか」と思った最大の理由です。
× 対応ファイルがCSV、Excel、Googleスプレッドシート
場面によっては「デスクトップアプリの操作は苦手」に通じますが、まずExcelとCSVのファイルを読み込んで操作するときは ファイルをアップロードしておく必要があります。
これは地味に手間なのではないかと。
なので、どちらかというと Googleスプレッドシートでの活用のほうがより活かせるのでは、という印象も抱きました。
今後、だんだんとスプレッドシートが広く使われるようにはなっていくのでしょうが、現時点で言うと手間のほうが勝ってしまう印象です。
また、現時点で対応可能なファイルはExcel、CSV、Googleスプレッドシートで、PDFには現状対応していない(2018年6月時点)ようです。
これは使い方によるところもあるでしょうが(既存のRPAも自在に扱えるわけではなさそうですし)、ただプラスの要素ではないよなと。
BizteX cobit の料金プラン 「ステップ」とは?
あと、料金プランが少々わかりにくく感じました。
まず フリープランが一週間のみ なのですが、個人的には一カ月か、短くても二週間ぐらいあるといいなあというのが感想です。
有料の料金プランも、
・ライトプラン 初期費用30万円、月額10万円 10万ステップ
・ミドルプラン 初期費用30万円、月額20万円 30万ステップ
・プロプラン 初期費用30万円、月額30万円 50万ステップ
と、最低年120万円から、ということで、このへんも税理士事務所のような小規模な組織には向かないのかなと感じた理由です。
おそらくですが、「BizRobo!」あたりを使っている・使おうとしている会社がターゲットなのではないかと感じました。
また、この「10万ステップ」の考え方。
1つの命令を1ステップと数えるのですが、命令自体は単純であっても、くり返しもそれぞれ1ステップとして数えていくため、データの数が膨大ならその分ステップが消費されていくことになるようです。
多分導入してみないと「自社の処理だとどれぐらいのステップになるのか(どのプランになるのか)」がわかりませんので、そのへんもフリープランが1週間というのは少し短いのでは、と感じた理由のひとつです。
(担当の方が導入前に見積もってくれるのかもしれませんが、そのあたりは私ではわかりませんのでBizteX社さんへお問い合わせください)
ビズテックスコビットの実際の使用感まとめ
というわけで、国内初クラウドRPA「BizteX cobit」を実際に軽くさわってみた感想として、
○ 直感的に操作可能なデザイン
○ Chromeにめっぽう強そう
× デスクトップアプリの操作は苦手
× 対応ファイルがCSV、Excel、Googleスプレッドシート
という内容をまとめました。
私の結論としては、くり返しになりますが、税理士をはじめとした「小規模な会社、ひとり社長、フリーランスはターゲットではないのだろう」です。
ただほんとChromeの操作感はほかのRPAツールではないような手応えを感じましたので、合う会社さんには合うのではないかと。
しかしいろいろなRPAツールが出てきていますね。
また新しいのが体験できる機会があれば試していきたいと思います。
(MinoRoboのレビューを書き忘れていたことをいま思い出し呆けた顔をする)
○-○ ―――――――――――――――――
<余談>
ちなみに、このセミナーのあと、freeeさんから
「ご紹介できる事例があるのでお電話でお時間いただいてもよろしくて?」
というメールをいただきました。
「RPAの事例なら興味あってよ。でもfreeeさんの活用事例ならごめんあそばせ」
とお答えしたら、案の定freeeさんの活用事例でした。
うまくぼかして聞いてきたなと感心したけど、そういうのおやめになってね。
まじだぞ。
関連記事
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『【税理士のRPA】e-Taxの電子申告番号を自動取得してみた(国税庁・WinAutoMation)』
『UiPathと弥生会計 総勘定元帳と仕訳日記帳をCSVでエクスポート→Excelに貼り付け【税理士のRPA】』
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