2017/04/27

会計ソフトへの入力は誰でもできるのか問題

 

 

結構前ですが、知り合いの方に「経理さえ雇えば会計ソフトの入力なんて誰でもできるんでしょ?」という質問をされました。

そのときは説明する時間もなかったので、「入力するだけなら誰でもできますよ」という答えだけお返ししたのですが、この質問について改めて考えてみました。

 

 

会計ソフトの入力なんて誰でもできる?

これへの回答って、その税理士さんによって異なる場合もあるんでしょうけど、私の回答としてはやっぱり「入力するだけなら誰でもできる」になります。

それというのも、私がこの税理士業界に入ったとき、日商簿記2級をとっただけの実務経験ゼロの状態で拾ってもらったので

・経理の仕事がどういうことをするのかわかってない

・勘定科目自体はわかるけど、具体的にどういう取引をどういう勘定科目にするのかいまいちわかってない

・預金通帳にこんな多額のお金が入っているの見たことない

・会計ソフトの存在自体知らない

・決算って何? 消費税って何? ついでに年末調整って何?

 

という「小学生かな?」ぐらいの状態でしたので、そんな私でも入力できたんだから「まあ、誰でもできますよね」という回答にならざるを得ないわけです。

 

手順的には、

(1)先月の処理を見て、同じような勘定科目をつかって、同じような摘要(相手の名前や買ったものの内容のメモ)を入力していく

(2)一カ月分同じように入力していくと、あらふしぎ! それっぽい試算表が出てきた!

というだけだったので、「会計ソフトってよくわかんないけどすごいんだなあ」と思っていました(というか今でも思っています)。

 

 

入力はできるけど、正しい運用ができるか

ただ「じゃあ簿記の知識なんてまったくいらないよね」と言われると、知っておかなくちゃいけないこともあって、そういうのを調べながら進めていける人である必要はあるのかなと思います。

たとえば「継続性の原則」というものがあって、まあ名前なんてどうでもいいんですけど、ものすごく大ざっぱに言うと『「この取引にはこの勘定科目」って決めたんだったらそれを継続しなさいね』というような内容の決まりがあるんですね。

ガソリン代なんて入力する人によって意外と処理が分かれるんですが、

・旅費交通費

・消耗品費

・車両費

・燃料費

というように候補がいくつもあることがあるわけです。

 

どの勘定科目が正しいの?

で、「上の4つのうちどの勘定科目が正しいの?」と聞かれた場合には、「全部正しいです」という答えになります。

「経理自由の原則」というものがあるので、「必ずこの処理はこの勘定科目を使いなさいね!」と会計の決まりが事細かに定められているわけではありませんし、

税務署が口うるさく言うのは「費用にできる金額を間違えないようにしなさいね」という金額に関する部分なので、「この勘定科目にしなさい」というようなことは通常言ってこないわけです(よっぽどおかしな処理をしていない限り)。

 

じゃあうちはどう処理したらいいんだよ!

と言われたとき、税理士事務所の人は「今まで使ってきた勘定科目と同じものを使ってください」と答える人が多いと思います。

これがその「継続性の原則」というものの影響で、

「今年のガソリン代は消耗品費でいこう!」

「今年消耗品費だったから、来年は旅費交通費でいこう!」

とか気分によって変えてしまった場合、一年経って「前期と当期の消耗品費」「前期と当期の旅費交通費」を比べたとき明らかにデコボコして、きちんと業績を比較することができなくなってしまいます。

まずこういうことに「はたして好き勝手に変えていいのか?」という疑問を持って、調べてから処理をするタイプの人である必要はあるんだろうと思います。

 

 

入力はできるけど、きちんと分析ができるか

会計というものは過去のこと(過去に起きたことをどう数字に表すか)なので、日常的に「これからどうしていくか」という将来のことを考えている経営者の方にはいまいち重要性がわからない方も多いのではないでしょうか。

でも毎月の業績をきちんと締めて、きちんとチェックしていくというのは、自分が今していることで利益は出ているのか、方向性はこれでいいのか、など 現在地を確認する行為 でもあると思います。

その確認をするには ただ入力しているだけではダメ なんです。

 

分析を正しく行うために

分析を正しく行うためには、ざっと思いつくだけでも以下のことに気をつけないといけません。

(1)上のガソリン代の話のように、まず勘定科目を統一するなど運用をきちんとする。

(2)売掛金や買掛金など、その月に発生した主要な売上や原価を計上する。

(3)ある程度の固定資産がある会社さんであれば、減価償却費を毎月入力する。

(4)社会保険料や事務所・店舗の家賃など、金額が大きくて毎月発生する費用は、たとえ支払いが翌月になったとしても毎月反映させる。

(5)複数の店舗や事業がある会社さんの場合、採算がとれているかを店舗ごと・事業ごとに区分して処理をする。

(6)消費税を税込方式で処理しているのであれば、毎月発生した消費税額を費用として認識させる。

 

経理の人・税理士事務所に丸投げしているだけではダメ

こういうことをしていれば、

・今現在のやりかたで利益が出ているのか

・決算のときに出さなければいけない利益に到達できるか

・どこかで資金繰りの問題が起きないか

を毎月確認しながら進むことができますし、

・決算のときいくらぐらいの納税が発生するのか

の見込みもある程度の精度で出すことができます(借入がない会社さんだとあとどれぐらい経費として使えるのかも把握できます)。

 

ここまでして初めて社長の役に立つデータが得られるようになりますし、逆にこういうことをしないことには、ただただ税務署や銀行に出すために必要な作業をして終わり、になってしまいます。

こういうデータを上げられる方は、経理として雇いさえすれば誰もができるわけではありませんし、向き不向きの問題でなくやり方を知らないことには上げようがないことなので、自分で具体的にどうしてほしいかを勉強して教えてあげるか、顧問税理士さんに「毎月しっかり締めたいんですが」と頼んで経理の方が育つ環境を整えてあげる必要はあるでしょう。

また、そもそも経理を雇う余裕はない小規模な会社さんは、自分も資料を整備しつつ同じように顧問税理士さんに「毎月しっかり締めたいんですが」と言ってみて、コミュニケーションをとりながら進めていくとよいのではないでしょうか(せっかくお金払っているのに税務署に提出して終わり、ではもったいないですから)。

 

 

まとめきれていないまとめ

改めて冒頭の「経理さえ雇えば会計ソフトの入力なんて誰でもできるんでしょ?」という質問への回答を考えてみたんですが、

・入力するだけなら誰でもできます。でも、ただ入力するだけでいいんですか?

と答えて上記のような話をする、というまとまりのないものしか思いつきませんでした。

簡潔に答えられるようもっと説明上手になる勉強を積まなければいけません。

 

 

 

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読んでくださってありがとうございました

 

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