こんにちは。めがねロボットの谷口(@khtax16)です。
死ぬかと思いました。
エラーが起きすぎてほんと死ぬかと思いました。
税理士の仕事で使う「JDL」というソフトで、税務署へ出す「概況書」という書類を、
- WinAutoMation
- UiPath
それぞれでつくって比較してみるか、と思ったのはもう結構前。
WinAutoMationではそこそこさらっとできまして、しかもこれがロボット感満載の挙動をしてくれるので、RPAの話をするときはたいていこのロボットを見せて得意満面に鼻息をふんふん噴き出しています。
しかしUiPathで同じものをつくろうとしたところ、エラーが起きては挫折し、エラーが起きては挫折し、でかなりの時間がかかってしまいました。
これだけでも難易度の比較としては一端が伝わるかもしれませんが、ざっくりとこの2つのRPAツール(特に当記事では完全にRDA)の比較をしてみます。
※ ちなみに、プログラミングとRPAの難易度の違いを『RPA習得の難易度は「Excelの関数以上プログラミング未満」説』で考察してみました
目次
UiPathとWinAutoMationを比較してみた
まず前提として、『【RPA超入門編】RPAとRDAの違い 小規模企業のためのざっくり図解』でRPAとRDAの違いをご紹介したように、
- WinAutoMation
- UiPath
というのが、特に小規模企業がRDAを導入するにあたっての現実的な選択肢となるであろうソフトです。
当記事の趣旨ではないので、つくりかたは省きますが、
- 事前にデータのもととなるExcelを作成しておく
- そのデータをRPAツールで読み込み、専用ソフトへ入力していく
というのが、今回各ソフトで行なっている作業です。
(『WinAutoMationで弥生会計を操作 試算表CSVをエクスポートし、別のExcelに貼り付け』みたいなことをして、1番も自動化する予定)
税理士がJDLの概況書をWinAutoMationでつくってみた
先に動画を置いておきます。
こちらがWinAutoMationでつくった書類作成ロボです。
ソフトの立ち上げに少し時間がかかっているので、1分ぐらいから見始めるのがおすすめです。
いいですねぇぇぇぇぇぇ
このいかにもロボットな動きが最高。惚れる。
税理士がJDLの概況書をUiPathでつくってみた
対して、UiPathでつくったロボットの動画がこちら。
後述のエラーが出まくってめちゃくちゃ苦労したわりには、動きが妙に遅くていまいち感動が薄いです。
(私のつくりが悪い気もするのですが、どう直したらいいのかがわからない…)
ほんと挙動が遅く、WinAutoMationの約2倍の時間がかかっているので、2倍速かつ30秒ぐらいから一部だけを見るのがおすすめです。
【RDA】WinAutoMationとUiPathの比較
と、このように同じロボットをつくってみた感想なのですが、まず第一に
WinAutoMationのほうが柔軟かつ簡単につくれる
というのが私の感想です。
参考情報のひとつとして、引用元としたExcelを比較してみます。
(なお、サンプル用に適当につくったデータです)
↓こちらが WinAutoMation用Excelデータ
↓ こちらがUiPath用Excelデータ
なんで若干違うのかというと、こんな感じでUiPathはシートごとにデータを分けているからです。
↓ データの種類ごとに別のシートにしている
UiPathはExcelを読み取るときに整列している必要がある
これ、いいか悪いかはさておき、WinAutoMationは雑なExcelでもデータを読み込み、ちゃんと指定さえしてあげればエラーなく吐き出してくれます。
↓ こんな歯抜けのデータでもOK
プログラマーの方や、VBAをガッツリやられている方からすれば
「そもそもこんな整列していないデータがけしからん」
ということになりそうな気もしますが、とにかくこんなデータでもWinAutoMationは問題なく読み取ることができます。
(善し悪しは一旦措いて、違いを述べていきます)
対して、UiPathでは整列していないデータだとエラーが起き、動いてくれません。
実際は読み取る方法があるのかもしれませんが、私のレベルでは解決方法が全然わからず、データの種類でシートを分けて整えてあげることで、読み取ってくれるようになりました。
税理士業界の方向け
ここは内容的に税理士業界の方向けですが、ちなみに、当記事ではUiPath用でシートを「表」「裏」の2種類で分けているものの、実際には「表」をPLとBSとで分けたほうがよさそうです。
PLとBSでは項目の数が違うため、セルの長さが異なります。
この下の部分ですね。
「For Each Row」で入力を繰り返す動作をさせているのですが、この長さの違いだけ、BSのところで余計な挙動をしてしまうのです。
(おそらく整列したデータを前提としているので、この部分にもデータがあるはずとUiPathが勘違いしてしまう)
動画で見ると、実は表面の入力が終わったあと、余計な動作が混じっています。
UiPathはマウス操作が優秀、WinAutoMationはキーボード主体のほうが安定
また、UiPathはマウス操作がとても優秀です。
JDLという、一般には使われない専用のソフトであっても、ソフトの要素(どう構成されているのか)を読み取ってくれるため、「ボタンを指定してクリックしてもらう」という命令が容易にできます。
対して、WinAutoMationはキーボード主体のほうが明らかに安定する、ということが言えます。
上の動画で、一回だけクリックをしているのですが、実はこれ、座標で指定しています。
つまり、別の端末になった瞬間微修正が必要になってしまう、ということです。
(私の腕では要素をうまく取得できませんでした。画像を取得するやりかたもありますが、安定性とソフトを使う範囲から考えて当記事では座標にしています)
JDLのような専用のソフトの中には、昔OSを作ってたとかいうよくわからない栄光に縛られて市販のキーボードのショートカットキーのことをまったく考えてないポンコツソフト 操作がマウスクリックを前提としてしまっているソフトもあり、そうしたソフトを使うとき、つまりマウス操作を前提とするときにはWinAutoMationは明らかにUiPathに劣ります。
「どこまでマウス操作が必要か」
にもよりますが、この2つを比較するとき、これは重要な違いと言えます。
ただしUiPathでエラーが起きるとどうしていいか全然わからん
「UiPathはソフトの要素を読み取ってくれ、専用のソフトのボタンクリックもできる」
と書きましたが、実はこの動画をつくる際、最初はクリックできたのに、時間が経ったらボタンをクリックしてくれなくなってしまった、という事件が起きました。
原因がまったくわからず、レコーディングをしても画像を取得するやりかたにしてもうまくいかず、いろんなやりかたで何十回試してもうまくいかなくてほんと泣きそうでした。
「JDLが余計なアップデートでもしやがったのか?」と疑った(多分冤罪だった)のですが、試しに一から作り直したらなんと普通に動きました。
Selectorなどを見比べても何が違うかまったくわからなかったので、完全なるノンプログラマーである私レベルだと、UiPathは高度すぎて太刀打ちできなくなる、ということが、場面によっては起こり得るんだなと思い知らされた事件でした。
まとめ WinAutoMationとUiPathの比較表
散らかった感じで述べてきてしまいましたが、最後にまとめとして、WinAutoMationとUiPathの比較表をつくってみました。
(あくまで完全ノンプログラマーである私の主観でございます)
「小規模企業なら無料」のUiPathは強いな、と思い、「どのソフトが主流になるか」を考えたときにUiPathをものすごく有力だろうと、わたくしいっときはUiPathにかなり傾いておりました。
でもWinAutoMationのお手軽さ・すてきロボット感が忘れられないの。などとぬかして後ろ髪を引かれまくっています。
(その後、UiPathは「日本での商用利用の場合、規模に関わらず有料」に改正されました。『「UiPathは小規模なら無料」は間違い(になった)』参照)
RPA業界は「プログラミング知識も不要だぜぃ!」みたいなノリで営業するところもあるようですが、正直最低限のプログラミング知識がないとメンテナンスや微調整がまったくできません。
WinAutoMationのように整っていないExcelデータを使えることがいいのか悪いのかも、「プログラミングの一環」という観点からすると議論のあるところでしょう。
また、そのうち書こうと思っていますが、RPAの営業事例などを見ていると「RPA云々の前にやることあるよね?」と思うような事例が多々あるのも事実です。
私はRPAをひと目見て惚れてしまったのでいろいろ研究したいほうですが、プログラミングの素養はないし、情報は全然しゃべれない英語が主体だしで心が折れる日も結構あります。
普及にはまだまだたくさんのハードルがあるんだなあ、というのが現時点での私の感想です。
(今後ますます加速するっぽい人手不足へ対応するために有力かつ必要なツール、とは思っています)
今後もいろいろ試してみて、何かわかったり考えが変わったりしたことがあればご報告いたします!
※ 「RPA・RDA」というカテゴリーでいろいろ書いています
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