好きでしかたがない仕事 税理士の仕事

 

独立してからというもの、「やりたいことを仕事にしよう」「好きなことを仕事にしよう」「楽しくて楽しくてしょうがないことを仕事にしよう」という言葉をたびたび目にしました。

(独立する前も見ていたはずですが、あまり目に入りませんでした)

それを聞いて、「自分がやりたいことってなんだろう」とずっともやもやしていたのですが、今日ふと「自分が好きな仕事・やりたい仕事」に気づきました。

「ブログは取り繕わず本音で書け」とも聞きます。

いいのか悪いのかわかりませんが、今日は独立してちょうど2カ月が経ったということもあり、試しに思いつくまま書いてみます。

 

 

きっかけ

気づいたのは、中島聡さんの『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』を読んだことが直接的なきっかけです。

しかし上述したように、独立してからずっと

「やりたいことを仕事にしよう」

「好きなことを仕事にしよう」

「楽しくて楽しくてしょうがないことを仕事にしよう」

という言葉を聞きながら、「自分のやりたいことってなんだろう」と考えていました。

そして今日気づいたのが、「ああ、自分は税理士の仕事が好きなんだ」という気持ちです。

 

 

税理士の仕事が好き

「変だと思われるんだろうな」と怖くて、人に言ったことがありませんでしたが、時間をかけて考え、行き着いたのがこれでした。

私は税理士の仕事が好きで好きでしかたありません。

一番初めは、「ある程度稼げる」「安定している」「社会的に認めてもらえる」などの点に魅力を感じて税理士を目指しました。

ただこの仕事をしてみて思いました。

  • この仕事が好きだ。
  • こんなに自分に向いている仕事はほかにない。
  • 「人工知能の発達などで税理士の仕事はなくなっていく」と言われるけど正直そんなの関係ない。自分はこの仕事がしたい。税理士の仕事をして生きていきたい。

具体的に好きな点を列挙してみます。

 

決算書や申告書のことが好き

決算書を見ることそのものが好きです。

一定数見られる、ほかの税理士事務所がつくった適当な、向上心の見受けられない決算書を洗い直し、いい決算書(ブログでたびたび言う「評価の高い決算書」)をつくれたとき、お客さまの評価向上に貢献できたとき、とても嬉しくなります。

 

また、申告書(税金の計算書類)を見ることも好きです。

どんな税額控除が受けられるか考えて、お客さまの支払う税金を減らせたとき、また会計重視の決算書をつくって申告書でどう調整するか考えるとき、心が沸き立ちます。

 

法律の条文を読むのも好き

知り合いの弁護士さんから「税法は美しくない」と言われたことがあります。

税法というのは、税金に関する決まりを決めた法律の総称です。「地方税法」という、住民税とか償却資産税とかを定めている法律なんてその最たるもので、もうえらいことになっています。

今ほかの法律を読むと、その整然と並んだ条文に「こんなにちがうのか」とめまいがします。税法は()とか多すぎてほんとわけがわかりません。

 

でもそれも含めて法律って本当にすごいんです。読むたびに「こんなに考えてつくられてるのか!」って驚きます。自分とは頭の構造が全然ちがう人がつくってるんだろうと考えると興奮します。

今考えると私は調べ物が好きで、何時間も税法のことを調べることがよくありました。調べたことのある条文は、ひたすらコピーして読みやすいように色を分けて保存してあります。どうやらそれをする方はあまり多くはないようで、同僚に話してどん引きされたこともあります。

 

でも読むと本当にすごいとため息が出ます。条文のこと、法律のことが心から好きなのが正直な気持ちです。

(女性の同僚に「谷口さんって変態」というご褒美をいただいたことがあり、当時「こんな紳士をつかまえてなにを言ってるんだ」とぷんぷんしていましたが、いまは否定できない気持ちを抱いています)

 

会計基準を調べるのも好き

税法ほどではありませんが、会計基準を調べるのも好きです。会計基準でゆるされる範囲内で、お客さまの決算書の評価をどうよくしようか考えてると興奮します。

ただ「会計基準も好きなんだな」と気づいたのはわりと最近です。ブログを書いたおかげで気づけました。

 

税法や会計基準をどうお客さんの役に立てるか考えるのが好き

でも税法や会計基準のすべてが好きなわけではなく、私が好きなのは「実務に役立つ税法や会計基準」です。

私のブログを読まれた同業の方はお気づきになるのかもしれませんが、「会計学として正しいかどうか」より「感覚的に概念を説明できているか」しか考えていないようなところがあります。

そもそもきちんとした学問としての会計学を学んだことがないので、正しい意義を説明できていない可能性が多々あります。

でも私が好きな中小企業にとってそんなのはなんの役にも立たないとも思っています。私にとっては「実務に役立つかどうか」、お客さまの役に立つかどうかがすべてです。

 

尊敬できる社長と仕事をするのが好き

私は社長、特に創業者である社長さんが好きで、その行動力を見ると心から尊敬の念を抱きます。

私は本当は経営者になりたかったのですが、行動力があまりにも足りず(ほかにも足りないものはたくさんあったのでしょうが)挫折しました。ブログでも経営に関することを言うことはありますが、基本的に「経営」という面では社長にはまったく勝てないと思っています。

でも税理士として、数字に関する面で気になったことをお伝えすることはできます。社長の役に立つ分析をすることもできます。

私は尊敬する社長さんの役に立つことに喜びを感じます。尊敬する社長の右腕になりたいと思っていますし、また私もできるかぎりのことをして、私のことが必要だと、敬意を持ってもらえるような、お互いに敬意を持てるような仕事がしたいと常に考えています。

 

継続的に見ることができるのが好き

税理士のビジネスモデルで一番いいところは、「継続してその会社さんを見ることができるところ」だと思います。

単発のお仕事だと、それからその会社さんがどうなったかを知ることができません。

私は尊敬する社長さんの会社に思い入れを持つタイプなので(それがいいこととは限りません)、その会社が今後どうなっていくのかが気になりますし、知りたいと思います。

その会社が今どういう努力をしていて、今後どうなっていくのか。それを一緒に歩んで見ていけるところもすごく好きです。

 

「どうやったら伝わるかな」と試行錯誤するのも好き

私の好きな中小企業の社長さんは、経理というか財務に関することを勉強したこともないし、苦手意識を持っている方も多くいらっしゃいます。私はそれで全然構わないと思います。社長にとってやるべきこと、知らなくちゃいけないことは山ほどあるんだから、「なにがなんでも経理を勉強しましょう!」とはまったく思いません。

ただ、知っておいたほうがより経営の役に立つことがあるのも事実です。だから社長さんが勉強する代わりに、私が噛み砕いて「これはこういうことなんですよ」「こういう制度があるんです」とお伝えして、社長さんの理解の助けになれたときに大きな喜びを感じます。

 

お会いして話すのが好き

私が一番好きなのはお会いして話すことです。今はスカイプなどで気軽にテレビ電話をすることができますが、好きかどうかで言うと一番好きなのがお会いして話すことです。

先ほどのものにも通じますが、噛み砕いて説明するときは、特に「今わかっているかな」「いまいち腑に落ちてないな」という観察をしなければなりませんので、お客さんの顔や声や姿勢やしぐさがわかる「会って話すこと」が好きです。

 

法人のお客さまが好きで好きでたまらない

これは私が「法人税法」という法律が好きだからです。

個人は「所得税法」という法律、法人は「法人税法」という法律で、それぞれ税金に関する決まりが定められています。

個人は必ずしも利益を追求して動くものではありませんし、生活していくのに必要なお金を考慮する必要がありますので、「所得税法」はそこまで論理立てて設計されているように私には感じられないのですが、「法人税法」には一貫性を感じ、尊敬できる法律であると感じます。

 

また、「会計基準」というものも法人に向けてつくられたものですので、この2つを追窮していけるという意味で法人のお客さまが好きです。

規模が大きいか小さいかは正直言ってあまり関心がありません。法人が守るべき「法人税法」と「会計基準」をより深く学んで、お客さまに還元することが好きです。

 

簿記の考え方が好き

つまるところ「経理」の仕事は「簿記」から始まります(今は会計ソフトが発達したので、簿記を知らなくても作業はできますが)。私は簿記を勉強したとき「あ、これ好きだ」と思いました。

税法のところでも言いましたが、私は「よくできてる」ものが好きなのかもしれません。自分というものを大きく超えた仕組み、自分では絶対思いつかないであろう仕組みに感動するようなところがあります。簿記を勉強したとき「なにこのよくできた仕組み!すごい!面白い!」とその面白さにただただ興奮しました。

 

勉強していくにつれて、自分の思考と、簿記というものを構成する考え方とが、どんどんどんどん一致する感覚になっていったのを今でも覚えています。自分というスポンジに簿記の考え方という水が滲み込むようでした。

その後税法の面白さに目覚めたことと、また私は勉強のための勉強がとても嫌いなので、簿記の考え方を知ったあとは追って勉強することができませんでしたが、その「簿記の考え方」は今でも大好きです。

 

 

 

おわりに

というのが私の好きな仕事についてです。

とはいえ、正直に言ってこれからの日本が、世界が、時代がどうなっていくのかは私にはわかりません(誰にもわからないでしょう)。

「人工知能の発達で税理士の仕事がなくなっていくなんて関係ない」

どんなにそう言い張って、情熱を持ちつづけていても、税理士という仕事が消滅する時代がいつか来るかもしれません。

そんなときに自分になにができるのか。

  • 今いただけている仕事やチャンスに感謝し、全力で取り組む
  • 同時にいろいろなことにアンテナを張り、学ぶことを忘れず、チャレンジしていく

この2つのことを忘れずに今と将来を見据えていきたい、今はそう考えています。

 

 

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