こんにちは。めがね税理士の谷口(@khtax16)です。
少し前にTwitterを開いておりましたらば、
会社を辞めた事が無い人の「辞めたらさすがに何か大変なことになるだろう」という思い込み、すごい。とくに何もない。完全に想定通り、すべてが自分の制御下。何もしなければ何も起きないし、何かしたら何か起きる。
予想外に金が増えることも減ることもない。辞めた事実以外何もない。— ようてん (@youten_redo) 2017年8月14日
というツイートが飛び込んでまいりました。
一応文章にも起こしておきます。
会社を辞めた事が無い人の「辞めたらさすがに何か大変なことになるだろう」という思い込み、すごい。とくに何もない。完全に想定通り、すべてが自分の制御下。何もしなければ何も起きないし、何かしたら何か起きる。
予想外に金が増えることも減ることもない。辞めた事実以外何もない。
私はここまで「何もない」とは言えないのですが(しばしば見込みが甘い)、感覚的には「この思い込みすごくわかる!」と1社目の会社を辞めるときのことを思い出しました。
いまは「会社辞めたって死にはしないよ、大丈夫」と言えますが、はじめて正社員になった会社を辞めるときは、
「こんな中途半端な状態で辞めるなんて言い出したら、自分は社会的に死ぬんだろう」
というおそろしい観念ばかりがふくれ上がり、退職の意思を伝えるまでのあいだずいぶん苦しい思いをしました。
共感していただけない方も多数いらっしゃるのだと思いますが、
- いま1社目の会社で、退職経験がない方
- 「退職したい」という意思はあるものの、言い出せない方
を対象に、「そんなに怖がることはないよ」ということを書いてみます。
(私自身の経験から税理士業界のことを中心に申し述べますこと、ご了承ください)
目次
会社辞めても死なない
プロフィールにも書いてますが、私の場合、ヤンキーだらけの専門学校を卒業してからというもの、ふらふらとフリーターなんぞをしており、
- 本屋で契約社員
- 生命保険会社の審査の仕事で派遣社員
- そこで簿記2級を取り、税理士事務所ではじめての正社員
という順序で、25歳のときにはじめて正社員になりました。
そこで3年弱勤めてから退職したわけですが、退職を申し出たときは2年ちょっとしか経ってませんでした。
私はこの職場をやめるとき「税理士業界なんてやめてやる」ぐらいの気持ちだったのですが、なぜそんな気持ちになったのかを振り返ってみると、
- 税理士業界も正社員もはじめての癖に3年も勤めずに退職する自分の根性のなさ
- 税理士試験があと2年(当時2科目受かっていました)はどんなに早く受かっても続くんだという絶望感
- 「大した経験もなく、3年も続かなかった自分に転職ができるとも思えない」という不安
- 仮に転職できたとしても、新しい職場がどんな環境なのか、何をやらされるのかがまったく想像できず、八方塞がりになったかのような感覚
などの「いまの事務所に勤めつづけることもできないし、かといって現状の能力と評価でほかの事務所に行ける気もしない」といった、
「きっと自分はこの業界でやっていくことはできない」
という実体のない恐怖感から「税理士業界なんてやめてやる」という思いを抱いていた気もします。
(仕事自体は自分に合っていると思っていたし、好きだったのですが)
「自分に大した経験はないから転職なんてできない」なんて考えないで!
というように、結局のところ私が抱いていた不安の最も大きなものは、
自分には大した経験も資格もないから転職なんてできない
という「自分の退職したあとの姿がまったく想像できないこと」であった気がしています。
これにさらに「3年も勤めず退職することで根性なしの烙印を押されること」を想像し、そのような評価をされる自分の将来がおそろしく、足がすくんで動けなくなっていました。
しかし、実際に転職活動をしてみるとそんなことはまったくありませんでした。
むしろ2週間で転職サイトへの登録から内定まで終えるぐらい早かったですし(半年少々受験に専念したので、そのあとの話ですが)、実際転職してみるとまったく問題なく仕事もこなせました。
これは最初の事務所のトップの方が、考え方からやり方からたくさんのものを叩き込んで、話して聞かせてくれたからで、それが本当に大きな財産になったからでした。
これに気づいたのは転職後のことというのが情けないですが、その最初の事務所のトップの方や先輩がたには心から感謝しています。
(3年も勤めず辞めて本当に申し訳ありません)
しかし私が言いたいことは、「自分がどれぐらいできるのか、違う場所に行かないとわからないこともある」ということです。
いまいる場所で、腐らずできるかぎりのことをやっていれば、必ず身についているものがあるはずです。
誰かに聞いたわけでもない自己評価で「自分に転職なんて。。」などと縮こまってしまうのは、本当にもったいないことです。
あなたが身につけてきたものは、あなたの中に絶対にあります。
そして一回その感覚を身につけると、本当の意味で
「あ、会社辞めても死ぬわけじゃないんだ。なんとかなるんだ」
ということがわかるようになります。
とりあえず転職活動をしてみる
社会人という社会人に「転職しようぜ!」などと勧める気はまったくありませんが、冒頭でも挙げた、
- いま1社目の会社で、退職経験がない方
- 「退職したい」という意思はあるものの、言い出せない方
という方がもしいらっしゃれば、実際に辞めるか辞めないかは別にしてひとまず転職活動をしてみる、というのは一つの方法です。
それによって「自分が市場からどう見られるのか」がわかるでしょうし、自信のない方の場合はだいたい
「あ、思っていたよりいまの自分でも需要はあるんだ」
という気づきになるように思います。
(いまの売り手市場ならなおさら)
それがわかれば、いまの場所で修行をつづけるもよし、ほかの場所で新たな修行を積むもよし、いままでよりも楽な気持ちで生きることができるはずです。
大切なのは「自分には選べる道があるんだ」ということを自覚することです。
「この場所にいつづける自分が想像できないのに、ほかにどこへ行ったらいいのかもわからない」という状態はものすごくつらいものです。
あなたの人生の選択権はあなたが握っていますし、あなたが自分を磨く意志を持つことでそれはさらに広がりを見せます。
決して自分一人の狭い視野で思い込んでしまわないようにしましょう。
転職を試みて「足りない」ということが判明した場合
その一方で、たとえば税理士事務所には「会計ソフトへ入力する業務」のように、付加価値をつけることがほとんどできない仕事もあります。
税理士という仕事はコミュニケーションが取れてなんぽ、というところがありますが、もし税理士になることを視界の片隅にでも入れているのなら、やはりお客さまのところへ行く業務の経験は絶対に積むべきです。
(自分が望んで入力業務をしている場合はもちろん別です)
漠然とでも「税理士になれたらなあ」とか「独立という選択肢があったらまあいいかなあ」と思いつつ、お客さまのところへ行くでもなくひたすら入力業務しかしていないのであれば、それはそれで退職すべき、と私は思います。
- ただ入力業務だけして過ごした3年
- 担当を持ってお客さまの質問に冷や汗をかきながら対応した3年
という経験を持つ2人が並んだ場合、経歴だけ見れば同じ「税理士事務所での3年の経験」であっても、その濃さは圧倒的に違います。
入力業務しかしてない方が「3年経験あります」という触れ込みで入った場合、「え、こんなこともできないの?」と思われる可能性は残念ながら高いでしょう。
もし自分が望んでもできない環境にいる(明確な理由があり、それを説明されている場合は除く)場合、転職などによってもっと密度の濃い、自分の能力や自信につながる年月を過ごすことも、とても大事なことではないでしょうか。
『独立して1年経ちました はじめての独立記念日』でも書きましたが、われわれは毎日歳を重ねます。
「残りの人生で一番若いのは常に今の自分」です。
「いまのままじゃまずいよな」「いまのままでいいのかな」という不安や迷いがあるのであれば、自分に負荷をかけるべきときを逃さないようにしましょう。
いまの職場で力をつくすこともすごく大切
上でも少し書きましたが、いまの職場で力をつくすこともすごく大切です。
なめた仕事をしている人はどこへ行ってもなめた仕事をするでしょう。
そこがどんな職場であろうと、自分にとってできるかぎりのことをするからこそ、転職などのときにどんなにわずかにでも自信や気づきにつながるのだと思うのです。
とはいえ、あえて「全力で」とは書いていません。
自分が本当に「なりふり構わず常に全力で仕事に取り組んでいたか」と問われると、正直仕事中にヤフーニュース見て「やる気出ねえ」とか言ってなめた態度をとっている瞬間もちょいちょいありました。
ただまあ全体的にはがんばってたかな、と思えるぐらいでしたので、それぐらいでも大丈夫なんじゃないかと。
(こんなこと書くのもどうかと思いつつ)
「職場に迷惑をかけるかも」という悩みに対して
また、これは最初の事務所ではありませんが、直前の事務所を辞める際には
「自分が辞めることでみんなに迷惑をかけるのでは」
という悩みがありました。
これは妻も抱えていたので、わりとある悩みなのではと思い書きますが、結局できることって
まわりに最大限配慮しつつ、自分の意志をしっかり持つこと
しかできないように思います。
退職理由のひとつ 職場環境
なぜ退職を考えたかと問うたとき、そこそこある状況として、
- 職場の環境が悪く、人手が足りなかったり過剰な負荷がかかっていたりする
- 自分だけではなく、まわりも似た状況で全体的に疲弊している
- そこに何も手を打たず鼻だけほじっている経営者(あるいは表面上だけ申し訳なさそうに振る舞う経営者)がむかつく
というのは世の中的にまああるのではと思います。
このような状況で、あくまで私の場合ですが、
「経営者に迷惑がかかるのは構わない(むしろ積極的にかけたい)けど、結局自分が辞めたことで迷惑をこうむるのは現場の人やお客さんだしなあ」
という心情で退職をためらっていた時期がありました。
(前半に性格の悪さが出ている)
特にものすごく特定の役職が疲弊していた時期があり、「お世話になった上司に迷惑をかけたくないし、上司が退職するまで待つか」とも考えたのですが、身勝手な私は結局上司の退職を待たずに辞めました。
うまく書けないのでその決断に至った過程は割愛しますが、このとき私は、
- 周囲に最大限の根回しと配慮をすること
- 「人の考えを100%理解することはできない」と割り切ること
の2つをしました。
周囲に最大限の根回しと配慮をする
個人的に、だれかの退職で一番困ることって、「明日やめまーす」といったふうに突然辞められること、ではないかと考えています。
なので引き継ぎや体制の立て直しに十分な期間を自分なりに考え、ある程度事前に退職の意思を伝えました。
本心はわかりませんが、みなさん理解を示してくれ、私は一緒に働く現場の方は大好きだったので、私がなりゆきで受け持たされてしまった仕事のマニュアルも作っていくなど、自分がいなくなってもできるかぎりスムーズに行くよう配慮はしたつもりです。
いまだに(といってもまだ辞めて一年ぐらいですが)飲みに行ったりごはん食べたりするので、決して極悪な印象ではなかったんじゃないか、と自分に言い聞かせています。
(こればかりはみなさんに聞いてみないとわかりませんが)
「人の考えを100%理解することはできない」と割り切ること
当時の私は、「一緒に苦しい時期を乗り越えている仲間」というような連帯感を抱いていたのですが、たとえ話していて「おれも辞めるわ」という軽口を叩いていたとしても、その人の本心というものは実際のところわかりません。
たとえば「上の立場なのでこのタイミングで辞めるわけにはいかない」と思っておられることもあるでしょうし、家庭があって「辞めたくても気軽には辞められない」という状況もあるでしょうし、「まじでいますぐ辞めたい」というほどは辞めたいと思っていない(行動に結びつくほどの思いの強さではない)、ということもあるでしょう。
私はなるべくコミュニケーションをとって、率直な気持ちを話しているつもりではありましたが、ただどんな間柄でも、どんなに慕っている人でも、
「人の考えを100%理解することはできない」
というのは実際のところなのではないでしょうか。
(もちろん私のコミュニケーションが空疎なものである可能性もあります)
結局人の思いや考えは、その方の行動を見てしか窺い知ることができません。
なので、率直に自分の思うところを話し、相談し、そのうえで必要以上に思い煩わない、ことも必要なことだと考えています。
「言い訳にすぎない」と非難される可能性も頭に入れつつ、もしまわりの方への配慮で悩んでいる方のお役に立てばと、書いてみました。
おわりに
というわけで、ターゲットもなにもないのですが、
- いま1社目の会社で、退職経験がない方
- 「退職したい」という意思はあるものの、言い出せない方
を対象に、自分が長らく抱いていた得体の知れない恐怖感を思い出したので、書いてみました。
ちなみに「まわりへの迷惑」云々のところを、本当はもう少し踏み込んで書くつもりだったのですが、際限なくなりそうだったので控えました。
また、当時経験不足だったので「転職」を話の軸にしていますが、これが「独立」であってもそう話は変わらないと思います。
我慢すべきときもありますが、行動すべきときもあります。
自分の本心と向き合って、まわりへの配慮を忘れず、目の前のひとつひとつのことをきちんと決断していきましょう。
むずかしいけれども!ヤフーニュース見ちゃうけれども!
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