こんにちは。ドM疑惑のあるめがねロボット(MMロボ)の谷口(@khtax16)です。
私、飲み会に行きますと、わりと率先してお店の人呼んだりグラスが空になったか気にしたりするタイプなんですよ。
それは一番はじめに入った税理士事務所で、「水商売の方々の気配りを範(はん)とせよ」と言われて身についたものでして、まあ賛否両論はあるんでしょうけれど私はそれを教えてもらえてよかったなあ、と思っています。
(先生気分でふんぞり返っているのが好きじゃないので)
それがそこそこ染みついているので、人と飲みに行ったときは、自分でちょろちょろ動き回っちゃったほうが楽なのですよね。
妻とごはん食べに行っても私がサラダよそったりしますし(飲み会だとサラダよそって微妙な空気になることもあるので、そこはあえて控えることも多いですが)、スイッチの切り替えみたいなのがうまくできないので、むしろ下座に座ってちょろちょろ動きたい派なのです。
※ その代わり酒が回ってくるとポンコツになります
ただそうすると、特に女性の方に恐縮され、
「いろいろ気を遣っていただいてすみません」
と言われてしまうことも多く、逆に大変申し訳なくなります。
私がちょろちょろ動くのは、飲み会で女性が「全体に気を配る役割」を担わされるのはおかしいのでは、という気持ちもありつつも、実際にはそんな大層な正義感とは関係なく「自分が気づいているのに誰かの対応を待つ」のがやきもきするだけ、という完全に自分の都合によるものです。
男性がいようが女性がいようが関係なく、自分で気づいた場合にはさっさと動いてしまいたい派なのです。
ただ、世間の風潮の問題もあって、恐縮される女性の方は多いのですよね。
先日もはじめて飲みに行った方から「いろいろ気を遣っていただいてすみません」と言われてしまいまして、
「これは逆に気を遣わせて申し訳なかったな」
「こういうときは動かないほうがいいのかなあ、でもそれでやきもきするぐらいなら何も考えずに動いちゃいたいんだよなあ」
「でもそれって自分の都合しか考えてないってことかしらん」
などということを考えつつ、私はニヤニヤしながらこうお答えしました。
「いえ、むしろこき使われることに喜びを覚えるので、ガンガン使ってやってください」
と。
すると一瞬「あれ、これ笑っていいのかな」的な空気になったあと、一緒に飲んでいた方々が優しかったのと、私のいかがわしいブログを読んでくださったことがある方がいらしたこともあり「わっはっは」「このドMめぇ」的な雰囲気で話は流れたのですが、私はその一瞬の空気に「はずしたか」と感じつつ同時にあることを思い出していました。
(いま考えたら、私のニヤニヤフェイスに漂うむっつりすけべ感がまずかったのかもしれない)
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私はプロフィールに少し書いていますが、20歳ぐらいのときに横浜のそごうにあるK書店で契約社員として働いていました。
プロフィールでは書店名を出していなかったのですが、なぜいまあえて出したのかというと、そごう(高級路線の百貨店)に入っているだけあって結構カッチリした服装を求められるお店だったからです。
本屋というと私服にエプロンで接客する街の本屋さんを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、その店舗では男性はワイシャツにメガネで接客する義務が課せられていました。
(いっけなーい、メガネじゃなくスラックスでした。実際メガネ人口めちゃくちゃ多かったですけど)
それに対して、女性は制服支給で、これはたしか義務ではなかったんですがハイヒールを履いている方も多かったのです。
そごうはやっぱりお客さんの数も多く、混む日はものすごく混むので、忙しいときはレジに6~7人ぐらい並んで接客することになります。
めちゃくちゃ簡単な図にするとこんな感じ。
「親レジ」というのが、お金を精算することができるレジです。
その店舗は、
- 接客するアルバイトがお客さまからお金を預かる
- 親レジのところへ行って精算
- 本にカバーをかける等してお渡しする
という流れになっていました。
なので、全員が接客中に一度はこの親レジに行きますので、この親レジの周辺ってめっちゃ混むんですよ。
しかも忙しいときはみんなきびきび動いているから、気を抜いているとお互い衝突しちゃうこともときどきあるわけですね。
で、ハイヒールってめちゃくちゃカカトのとこが出っ張ってるじゃないですか。
そんな忙しいある日、とある男性Mさんが、女性のSさんと衝突してしまい、ハイヒールで思いっきりMさんの足の甲が踏まれる、という事件が起きてしまいました。
(名前のアルファベットはランダムに選出されるシステムを採用しており、他意はございません)
そんなの想像しただけで悶絶しちゃうじゃないですか。
私はあとで当のSさんから話を聞いたんですが、なんか血が出るんじゃないかとか、自分だったら「痛った!!!」ってキレ気味に叫んでるなとか、自分が踏まれた場合の想像をして顔をゆがめていたんですよ。
「それ、Mさん、大丈夫だったんですか?」
私は思わずSさんに聞きました。
Sさんは「それがね」と言い、「ごめんなさいごめんなさい」とあわてて謝ったあとのMさんの反応を教えてくれました。
「大丈夫ですよー。むしろもっと踏んでください」
とにこやかに言ったそうです。
私はそれを聞いて雷に打たれたような衝撃を受けました。
ハイヒールで踏まれるだなんて絶対痛いはずなのに、そんなそぶりはまったく見せず、そればかりか相手に罪悪感を抱かせないために「ハイヒールで踏まれた」という事実をユーモアに変えてしまう。
そんなことがとっさにできるなんて。
Mさんは日ごろから面白く、冗談もよく言っていたので、「これが真の男じゃあぁぁ」と私は突然九州男児の霊に憑依されたかのような咆哮を発しました。
(九州男児についてはイメージです)
私はそんなMさんの男気に打ち震え、「Mさん、男の中の男っすね」と涙をそっと拭うと、Sさんはこう言いました。
「いや、もちろん申し訳ない気持ちもあるけど わりと普通に引いた」
と。
なんでだ!!!!!!!!!
なんでこの男気がわからないんだ!!!!!!!!!
これこそが真の優しさではないか。
「女の子の誘いを断るのが悪いから、彼女いるけどごはん食べに行っちゃう」みたいなモテ男の下心丸出しのエセ優しさとはまったく格が違う、これこそが相手を思いやる真心ではないか!!!!!!!
私はこれを聞いて以来、たとえドMだと思われ、場の空気が気まずいことになろうとも、思いやりの気持ちでドM発言することをおそれないことを固く心に誓いました。
Mさん、ぼくはいまもあの日の誓いを守っていますよ。
あなたは今日もドM発言をしているのでしょうか…?
ハイヒールに踏まれながら、痛みをこらえてにこやかに振る舞っているのでしょうか…?
後日、あなたは実際そういうお店に通っていて実際にご褒美であったことが発覚しましたね……ふふ、なんだか、あの日々がすごくなつかしいです。
P.S.あれから10年が経ったいま、ぼくは自分の会社名をドMにしてしまいました。でも、ふしぎと後悔はありません。晴れやかな気持ちで、今日もあの日と同じ、青く澄んだ空を見上げています。
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<懺悔>
申し訳ありません、最後「実際にご褒美であった」と書きましたが、ここだけ完全に創作です。
うまい着地が思いつかず勢いで書いてしまいました(ほかは実話です)。
Mさんはそういうお店に通っていませんし(たぶん)、本当に男気とユーモアをあわせ持つ紳士でした。
でもこの男気、女性にはなかなか伝わらないらしく、以前妻にもこの話をしたんですが、
「うーん、いや、そのときの言い方にもよるけどかっこいいとは思わないかな・・・」
と言われました。
なんでだ!!!!!!!!!
あーMさんにお会いしたいなあ。いまなにをされてるのであろうか。連絡先を失ってしまったのが非常に口惜しい。
前にも書きましたが、私はSだのMだの言うのは特定の相手との関係性の話であると思っていますし、それとは別にしても私自身特別M気質というわけでもありません。ただMっぽく扱われるほうがいろいろ便利なので、そう言われたときには反論しないようにしています。
しかし年下の友人からは「いや120%ドMでしょ。わかってるわかってる」と軽くいなされます。
なんでだ!!!!!!!!!
「役に立った!」「ニヤニヤした」など、もし「こいつ応援してやろうかな」という菩薩のごときお心が芽生えましたら、Amazonか楽天でお買い物するときに、下のリンクを踏んでからお買い物をしていただけますと私にジュース代なんぞが入ります。とても嬉しい。(なぜかメガネの検索画面が出てきますが無視してお好きなものを!)
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