6月30日という日 開業と廃業

今日は6月30日。私にとっては色々な節目の日です。

自分が退職する日、そして、お客さんが経営している大好きなお店が閉店する日です。

 

 

開業と廃業

 

そのお店は「箸で食べれるフレンチ」を掲げた飲食店で、店構えもおしゃれで、雰囲気もよく、店員の皆さんも目配り気配りのできる方ばかりでとても気に入っていたお店でした。

閉店間際までお客さんで賑わっていて、それでも閉めることになったのは、

 

・食材にこだわっていたため、原価率が高かった。

・人件費を含め固定費をなかなか減らせなかった。

・開店する際に多額の費用をかけたため、減価償却費が高かった。

 

といったことが主な原因としてあり、利益が出なかったからです。

(減価償却費そのものはキャッシュの出ない費用ではありますが、こちらの会社さんはそれなりの金額の借入をして開店費用に充てていたため、借入返済の形でお金は出て行ってしまっていました)

 

 

 

「儲ける」ということと、自分の好きなお店が潰れる理由

 

「儲ける」というとあんまりよくない印象を与えることもありますが、私はわりとこの言葉が好きで、なぜなら会社は儲けないとその事業を続けていくことができないと思っているからです。

きちんと儲けて、それを社内に適正に分配して、またお金を溜めて次の投資に備える。

社長もそうですし従業員の方もそれぞれご飯を食べていかなければいけないわけですから、そのお給料をもらうためにはまず儲けること、会社にお金を残すことを考えていかなくてはいけません。

 

 

少し前にネットの記事で「自分の好きなお店が潰れるのはあなたが通わなかったからだ」というような論調のもの(すみません意訳です)が出ていて、賛否両論あったようですが、私はこの意見すごくわかります。

自分の好きなお店が閉店することになって「いいお店なのになんで閉めちゃうの」「もっと続けてよ」と言えるのは、そのお店にきちんと通っていた人だけだと思います。

もちろん「きちんと」というのは、経済的な事情なりそのお店との距離なり人それぞれ条件が違うので、その人なりの通うペースに従っていればいいんでしょうけど、でもまれにしか利用しない人が「いいお店なのになんで閉めちゃうの」「もっと続けてよ」と『いつか自分が利用するかもしれないから』という理由でこの言葉を言うのは、無責任と批判されても仕方ありません。

そのお店が継続していくために、お店自身が、より売れるように努力すること、また来たいと思えるお店をつくること、うまく宣伝をすること、余計な費用を削ること、など多くの経営努力をすべきなのは前提条件としてありますが、少なくとも私は自分が一人の消費者として行動する場合、本当に好きだと思ったお店にはなるべく通うようにしたり、たとえば少し遠出をしたときに「楽しかったなあ」と思ったらなるべくそこに関係あるエリアでお金を使うようにしたりして、ほんのわずかな金額であっても経済に貢献できればと考えながら行動するようにしています。

そういうことを意識するようになったのは、この税理士業界に関わるようになってからです。

 

 

 

会社がずっと存続していくために

 

冒頭の会社さんはいくつかの事業を行っていて、会社として飲食業から撤退するというだけのことではあるのですが、もう少し何か力になれなかったかなあという思いを今も抱いています。

会社が事業をやめるとき、会社自体をたたむことになってしまったとき、社長や従業員だけでなくその取引先までいろいろな影響が世の中に波及します。

その事業に経営者の方の思い入れがあればあるほど決断は難しくなってしまうので、赤字事業から撤退するというのは間違いなく会社として一つの英断です。ですが、きちんと儲けることさえできれば会社も従業員もそこを利用するお客さまもみんなが幸せになることができる、というのも一つの事実としてあるのだと感じています。

開業を目指す原点として、そうやって正当に頑張っている会社さんの力に少しでもなりたい、その思いがあります。

そのためにはただ税金計算をするだけでもない、記帳代行をするだけでもない、また、無目的に節税のことだけ考えるのでもない、その会社さんのことを本気で考えられる税理士であり続けることを目指しています。

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