彼女とはじめて手をつなぎたいッ!!
しかし彼女が手袋をしていて手をつなげないッ!!
突然興奮して失礼をした。ごきげんよう、ふられまくりめがねの谷口(@khtax16)である。
若かりし頃、いろんな人に告白しまくって10回連続でふられまくった稀代のアンモテ男の私から、冒頭の叫びをうちに秘めた青少年のみんなに、
極寒の冬、相手が手袋をしているときでもさりげなく手をつなぐ方法ッ!!
を伝授しようと思う。
これは実際に私が妻に対して、2回目のデートの際に実践した方法である。
当時はまだつきあっていなかった、つまり私の片思い状態であったため、彼女候補にも通用する方法 である。
(むろん嫌がられていない場合に限る。強引すぎるのはダメだぞ)
冬といえば、コート、そして手袋。
つまり重装備である。
このとき相手が手袋をしているからといって、唐突に、
あなたにッ!!
手袋をッ!!
はずしてほしいッッ!!!
などと絶叫するのは悪手も悪手である。
冬というのは当然寒いものである。
手もかじかむ。
そんな寒空の中、ただただ「手袋をはずしてくれ」などというのは相手への思いやりに欠ける行為だ。
相手への思いやり無きものに恋をする資格はない。
ではどんなやりかたならよいのか。
私と妻との場合に使用した方法なので、便宜上私と妻(当時の彼女)という例を出しつつ進めていこうと思う。
私と妻とは、冬、大さん橋という横浜の有名なデートスポットへ夜景を見に行っていた。
夜景を堪能し、そこから帰る道すがら、われわれは並んで歩きながら「寒いねー」と言い合った。
右のメガネは私のことだと思ってほしい。
つまり 想定上のあなた のことでもある。
なに、おれはメガネかけてないんだけどって?
細かい男はモテないッ!!
目をつむれッ!!
なに、女の子が冬の格好に見えないだと??
トレンチコートみたいなの着てると脳内で変換しろウスノロがッ!!
胸元はあえて開けてるんだ真冬の根性セクシーアピールだばかやろうが。
(実際のところ妻はガッチガチにマフラーしてました)
とことこ歩くわれわれ。
街中、しかもデートスポットを歩くと高確率で「自販機」と遭遇することだろう。
自販機を見つけたらまずこう叫べ。
と。
そして間髪入れずにこう続けよ。
と。
こんな寒い夜、相手は当然温かい飲み物を欲しているはず である。
自販機の「あったか~い」に生への渇望が湧き出るのを感じているはず である。
なお、私の妻はこのときこう答えた。
と。
もともとうちの妻は非常にガードが堅く、手ごわかった。
(この件はガードの堅さは関係ございません)
1回目のデートのときにびっくりするほど話が盛り上がらず、だからこそ私は
「次はなんとしても盛り上げてやるぞッ!」
と狩人(かりうど)としての本能が刺激されたものだった。
なのでこのときも私は食い下がった。
と。
もはや論理も何もない。
男女関係で大切なのは勢いだ。
それだけあればなんとかなる。
妻は私の温かい飲み物への異常な熱意に押され、「あ、はい・・・」と答えた。
私は妻に何が飲みたいか聞き、要望のあった温かいペットボトルのミルクティーを買うと、フタを開けて妻に渡した。
私のシミュレーションによると、ここで妻は手袋をはずし、飲むはずだった。
しかし 妻は手袋をしたまま飲みよったッ!!
私は「ははーん」と思った。
「なるほどね」と。
「そういう派閥ね」と。
妻が手袋したままペットボトル飲んじゃう派閥に属していることを把握した私は、妻からペットボトルを受け取りゴクリとのどを鳴らすとまた叫んだ。
と。
つまり、素手の優位性をアッピールしたわけである。
手袋よりも素手のほうが、このペットボトルの温かみ、そして優しさをぞんぶんに享受できるんだよ、と。
きみは、この優しさを感じたくはないかい? と。
手袋なんかしていていいのかい? と。
私の感情に訴えかける作戦が功を奏したのか、私の異常なテンションに危険を感じたのか、妻は「あ、はあ・・・」というと手袋をはずしてペットボトルをつかんだ。
「あっ、あったか~」
いまだッ!!
ここッ!!!
勝機・・・ッ!!!
私は妻がしゃべっている途中で、そっと手をつなぎ、何事もなかったかのように歩き出した。
作戦としては以上である。
いかがだろうか。この情熱的かつ非の打ち所のないオペレーションは。
青少年の諸君も、
- 並んで歩き
- 自販機を見つけ
- 「自販機だッ!! 飲むぞッ!!」と声をからして叫ぶ
ことにより、たやすく、さりげなく、意中の彼女と手をつなぐことができる。
ぜひ実行していただきたい。
ちなみにこのあとデートを重ね、2~3回告白してようやくおつきあいしていただけることとなったのだが、妻はこのときを振り返るとこう言っている。
「必死すぎ&へたすぎて笑った」
と。
こういうダメなところも受け容れてもらえる、いやぁ、愛って本当にいいもんですねぇ。
(突然の水野晴郎で締めさせていただきます)
(たぶん若者に伝わらないことにいま気がつく)
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